ヒールのある靴を履くことにも慣れて、かつ、こつ、と螺旋階段を下りて料理人が忙しく行き来している調理場に顔を出す。「あの」作った裏声で話しかけると近くでカートの用意をしていたメイドがやってきた。「どうされました？」「がソファで寝てしまって…毛布とかありませんか」「あら、まぁ」口に手を当ててくすりと笑ったメイドが「お待ちくださいませ」と調理場を出て行く。 　ふう、と壁に背中を預けて一息吐く。…変ではなかったはずだ。何も。 　それにしてもいいにおいだな、今晩は何にするんだろうと思っていると、ぬ、と横から太い腕が伸びて反射で半歩引いた。「持っていきな」と言う太い声に「え？」とこぼした作った声は、機能していた。彼の前以外では決して地で喋らない。僕は決まり事を守れている。 　太い腕の持ち主が料理長だと気づき、その手にあるのがクッキーやパイ生地のはしきれだと気付いて、そろりとバスケットを受け取った。「ありがとう、ございます」料理長は何も言わずに調理場に引っ込んだ。もともと無口な人だとは知ってるけど…、これ、いいんだろうか。テーブルに並べられない余り物、なんだろうけど。 　適当な形のままのパイ生地をつまんで口に入れた。しゃく、と程よい音とパリッとした香ばしさを残しながらも弾力感のある、つまり、おいしい生地だ。 　ほどなくしてメイドが戻ってきて、僕の手に毛布を預け、カートの準備へと戻る。 　かつ、こつ、とゆっくり螺旋階段を上がりながら、毛布とバスケットを抱えて何とか部屋の前に辿り着き、静かに扉を押し開ける。彼はソファで寝こけていた。せめてベッドなら毛布を用意してくれなんて言わずにすんだのに、あんな場所で寝るから。 　はぁ、と息を吐いてバスケットをテーブルに置き、毛布を広げて、そろそろと近づいてそっと羽織らせた。ほっと息を吐いて、これで万に一つに風邪はひかないだろうと背中を向けたとき、がしっと腰に両腕が回って「え」とこぼすが早いか、ぼすんとソファに座り込むことになる。 　まさか、と振り返ればいい笑顔を浮かべている彼がいて、「わーい引っかかった」と子供っぽい顔をしているではないか。 　なんだよ、寝たと思って人がせっかく毛布を取りに行ったのに。起きてたんじゃないか。無駄なことをしてしまった。 「人がせっかく…」 「いやーつい意地悪しちゃった。寝てるフリしてたらキスするんだもん、もうちょっと寝たフリしたらどうなるかなーってさぁ」 　笑った彼に口ごもってそっぽを向く。 　…確かに、寝てたから、その顔珍しいなってじっと見つめて、ちょっとうずうずして、軽くキスしてしまったけど。それだけだし。変なことはしてないし。いや、キスしてる時点で変なことはしてるのか。 　狸寝入りに騙された自分に歯噛みしながらテーブルを指した。「パイ生地とかの余ったやつを焼いたの、料理長がくれた」「へぇ？」関心がないのか僕の腰に腕を回したまま離そうとしない。 　首筋に埋まった唇の感触。肌に触れる吐息が心音を高鳴らせる。 　腰を離れた片手がつつつとドレスの上から肌をなぞり、胸元のフリルの中に入り込んで鎖骨を指でなぞった。「…何」あまり意識しないようにしながらそっけなさを心がける僕を笑ったのが気配だけで分かる。「別に？」耳元で笑っている声を聞きながら、さらにドレスの中へと入り込もうとする手を掴んで止めた。 　それ以上触られてたら変になる。分かってるくせにわざとそうしているんだから質が悪い。 「キスしよ。口開けて」 　そういう僕を分かってるくせに、は真面目な顔でキスをしようと言う。 　くいと顔を上向かせられ、目が合って、抗えなかった。いつも本気だ。茶化さない。僕のことを本気で求めている。本気の思いを僕がふざけて蹴飛ばすことなんてできない、と大人しく口を開ける。顔を寄せてきた彼の舌に舌先を触れさせて、くちゅ、と水音をこぼしながらキスをする。 　僕だって、パイ生地よりも、クッキーのはしきれよりも、熱い舌が欲しい。 　腰に回っている腕の力が強くなって、隙間がないほどぴったりと身体がくっつく。いくら毛布と服を挟んでいるとはいえ、彼の膝の上に座っているという現状では身体が過敏になっている。布なんて意味がない。あと、胸を撫で回すな。…これ以上していたら勃ってしまう。 「ん、ぅ」 　顔を離そうとして拒まれた。口を塞ぐようなキスをされて抱き締められ、腰も背中もぴったり彼にくっついたままキスをするしかなかった。 　駄目、駄目、抑えろ、我慢しろと自分に命じても、もう遅い。 　ようやくキスから解放されたと思ったら身体はもう熱いことになっていて、とっくに手遅れで、スカートをたくし上げる手にも何も言えなくなっている。 「かわいい」 　ちゅ、と首にキスをされた。膝から腿を撫でていく掌に身体が騒ぐ。触って、と。「かわいくない」「かわいいよ。俺のために毛布持ってきてくれたじゃないか。嬉しかったよ」「……」そんなの。君だって、僕がソファで寝こけていたら、同じようなことをするくせに。 　足の付け根に触れられてぴくんと肩が跳ねた。「キスしただけなのに」と耳を食む唇が恨めしい。 　あと、キスしただけって言ったけど、しっかり胸も腰も撫で回してただろ。キスだけでこんなになったわけじゃない。胸の内でそんな言い訳する。 　…でも、反応してしまったのは、僕が感じたからだ。彼のキスと手つきに身体がその気になったから。 　僕ばっかり、と思っていたところに腰の辺りにぐりと硬いものを押しつけられて、なんだ、と小さく笑う。 「なんだよ。君の方が、ずっと」 「うるさいなぁ。かわいいアラウディが悪い」 　むっと眉根を寄せた彼が問答無用で僕を抱き上げた。どさりとベッドに下ろされて抵抗できないまま一つ吐息する。テーブルを指して「ねぇ、あれ冷める」「冷めてもおいしいよ」それもそうか、とベッドに手を落とし、シャツのボタンを外していく彼の姿を眺めた。 　また、昼間からこんなことをして。僕は、幸せ者だな。 　生まれだってはっきりしないし、汚い生き方をしてきたし、身体は弱いし、いいことなんて一つもなかったけど。これまでの不幸分を詰め込んだように、に拾われてから、僕は、とても幸せだ。幸福、だ。 　そう思っていたのが僅か一日前の、昨日の話だ。 　今日、は父親に呼び出しを受け、仕方なさそうに出て行った。僕はそれを見送った。喧嘩してくるよ、と笑って出て行った彼に申し訳ない思いを抱きながらも、うん、と頷いて彼を見送った。 　僕は彼に女も子供も作ってほしくなかった。 　貴族の嫡男に抱いてはいけない想いを伝えたばかりか、跡継ぎというその役目を放棄しろと言った。 　彼はそれを受け入れた。どうせ俺は女は抱けないよ、と言った彼にほっとした。 　僕以外を作らないで。お願い。泣いて訴えた僕に、彼は優しかった。 　まだ眠気でたゆたう意識で今朝のを思い出し、その笑顔で胸をあたたかくしながらいい加減起きようとベッドを抜け出した。ふう、と息を吐いてクローゼットを開け、着替えようと寝間着のワンピースのボタンをぷちぷちと外す。今日は何にしようとフリフリヒラヒラしたものばかりで埋まっているクローゼットの中を眺め、ぱさ、とワンピースを落としたとき、ガチャン、と扉の開く音がした。はっとして落としたワンピースで前を隠した。 　扉の開け方一つで分かる。これはじゃない。 　男の身体を隠したつもりだった。けど、一瞬遅かったようだ。 　今日はが来て出て行ったから、鍵をかけ忘れていた扉。それを開け放ったのは彼の父親、現当主であり城主である人だった。 　わなわなと震えているその手には剣がある。青い鞘の剣。確か、継承の儀に使われるのだという儀礼的なもの。いずれが持つことになるもの。 「お前が息子を誑かしたのか！！」 　怒号のような声が狭い部屋に響き渡り、石の壁を乱反射してわんわんと頭の中に響いた。 　誑かす。 　…世間的にはそうなるのだろう。女ならまだしも、僕は男だ。男でありながら男を誘って男に突かれてよがって生きてきた。そうしないと生きてこられなかったから。 　僕は汚れている。誰に言われるまでもない。何人に抱かれたかも分からない汚れた身体だ。身分もあって他の誰かを抱いたこともないが選ぶには分不相応だと分かっている。 　だけど。それでも。僕は。これが罪だとしても、禁忌だとしても、僕は。 　シャッと鞘から剣を抜き放った相手に身体が固まった。激怒を通り越して理性をなくした赤ら顔と向けられる剣先。 　逃げないと。 　逃げないと。服を着てる時間はない。男だってバレていい。騙していたのかと罵られたって構わない。ここを追い出されたとしても、今ならこう言える。は僕と一緒に来てくれる。地位も身分も捨ててくれる。だから。 　だから、生きないと。 　手にしているワンピースをぎゅっと握り締める。 　奇声を上げて剣を振りかぶり突進してくる彼の父親に、一度だけごめんなさいと謝ってから、逃げた。ソファを盾にしてワンピースをばさりと放って僕と相手の視界を遮り、その間に今持てる最大の力で、裸足の足で絨毯を蹴って開け放たれたままの扉を目指した。 「……っ？」 　だけど、届かなかった。 　転がり落ちてもいい。そう思って手を伸ばしたけれど、届かなかった。 　ずぶずぶと肉を引き裂かれる感触に唇を噛み締めた。全力で、と思っていた足ががくんと折れる。 　背中から、腹部を突き破って、剣が。 「ふ…ふふふふふ、はははははッ！」 　狂った高笑いの声。自分が何をしたのかも理解していないんじゃないかと思う声を聞きながら、痛みと熱で霞む意識で震える手を伸ばした。背中側から突き刺さっている剣の柄を握り、声を殺しながら引き抜く。 　僕を、貫いていいのは。の熱だけだ。 　ガラン、と赤い色で汚れた剣を捨てた。傷口から赤い色が溢れて流れていく。赤いそれは腿を伝ってすぐに絨毯を染め始めた。夏の空気に生臭い鉄のにおいが充満していく。気持ち、悪い。 （ああ、これは、死んだな。無理だ。どう足掻いても。もともと弱いこの身体にこの出血は、耐え切れないだろう） 　諦めた僕の耳に、螺旋階段を駆け上がる、よく知っている足音が幻想のように響く。 　身体から流れていく赤が鮮明な視界の中で、暗く閉じかけた思考で、必死に闇に抵抗した。 　僕は、まだ、眠りたくない。 「あ…」 　ふらふらと定まらない腕を伸ばした。「アラウディっ！！」と悲鳴を上げた彼が倒れ込む僕を寸前で抱き止める。止まることを知らない僕の血で彼のスーツが真っ赤に染まっていく。「おい、アラウディっ。嘘だろ、こんな…ッ」アラウディ、と僕を呼ぶ彼の顔をしっかりと記憶に刻みつける。必死だな。笑っちゃうくらいに。 　ああ、幸せだったな。最後が気に入らない終わり方になったけど、わりと、幸せだ。最後に君がいてくれたから。 　もう痛いのか熱いのか曖昧だ。今はどこか寒くて、それから、眠い。 「どうだ、、これで目が覚めたか！」 「…、」 　ぎ、と父親を睨みつけた彼がぎゅっと僕を抱き締めたあとにそっと横たえ、転がっている剣を掴み、僕の目では追いつかない速さで現当主で城主で父親である人の首を刎ねた。 　ご、と人の頭の落ちる音が重く響く。その顔は最後まで狂った笑い方をしたままだった。 　もともと女に狂っていた人だ。いつか、こんな終わり方をしていただろう。それについては同情も何も浮かばない。ただ、きれいだった彼の手を僕が汚させることになってしまったことだけは残念だ。 　すぐに剣を手放した彼が僕を抱き上げた。壊れ物を扱うかのような手つきで「アラウディ」と僕を呼んで泣きながらキスをする。その温度を憶えていようと冷たくなっていく身体で熱を意識した。「…」「うん」「ごめ、ん」「何が。お前が謝ることなんて何も…」今まで見たことがないくらいみっともなく泣いているから、唇の端で笑ってやる。 　なんだ、その顔。色子が一人、死ぬくらいで。 　君なら、女でなくたって、また誰かを作れて、愛せて、愛してもらえる。君なら、大丈夫。僕がいなくなってもきっと。 　…でも、嫌なんだ。 　自分が死ぬっていうのに何を勝手を言ってるのかって分かってる。 　でも、嫌なんだ。が他の誰かを抱くことなんて想像したくないんだ。そんな未来、嫌なんだ。 「ごめん」 「謝るなよ。謝るな」 「聞いて。僕、が、しんでも、誰もつくってほしくない。さいごの、わがままだ」 「、」 「ぼく、だけを、あいして」 　泣いた顔を見ながら、血の気が失せて回らなくなってきた頭で思う。愛している、と。 　だけど、もう、唇が、重たくて。喋ることが億劫で。もう。 （愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる、愛してる、愛してる、愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる、愛してる、あいしてる、あいして、） 「俺も愛してるよ」 　呪詛のような僕の想いは、最後にどうにか気持ちを伝えることができたらしい。 　もう君が見えない。どんな顔をしているのかも分からない。泣いているのか、笑っているのか、分からない。僕のわがままにどんな顔をして見送っているのかも分からない。何も見えない。もう何も。声も、もう、聞こえない。 　静寂。訪れた空白は、白く、何もない。 　……不本意な最後だったけど。でも、最後に君の腕に抱かれて君に看取られるのだから。これは、きっと、幸福な死に方に違いない。