「ねぇユニちゃん、話をしよう。彼と、この世界について」

「構いませんが…。何か、気になることでも?」

「大アリさ。君だって気付いてるんだろ? この世界は変だ、って」

「そうですね。おかしいです。何もかもが私たちの生きる世界と酷似していますが、無理をして似せたかのように、皺が寄っている部分があります」

「さっすが。で、その極端なところがアルコバレーノの不在。にも関わらずボンゴレ・マーレリングが存在していること、機能していること」

「そのとおりです」

「それでね? 個人的に調べてみたんだけど、この世界の熱の中心って、僕らでもないし、綱吉くんでもないんだ。ズバリ、誰だと思う?」

「…あなたがずっと気にかけている彼ではないのですか?」

「そうそうそうなんだよ〜! それからもう一人、ボンゴレの雲の守護者の彼ね」

「二人、ですか」

「そっ。二人」

「ですが、私の未来予知では…恐らく二人は……」

「そうらしいね。それを阻止するためにも、僕は大学時代からずっと彼にはりついて守ってきたんだけど、大した事件も起こらなかった。
 でも、ユニちゃんが予知したなら、それは絶対だ。必ず当たる。だから今も守ってるんだけど」

「……彼のこと、大事にしているんですね」

「そりゃーもう、溺愛って言っていいレベルさ。飽き症の僕が飽きずにいるんだから、正真正銘、愛しちゃってるんだろうね」

「辛くはありませんか」

「んー…まぁ、全くそうでないって言ったら嘘になるかな。でも、それでいいんだと思う。だから僕は彼を守りたいと思うわけだし」

「そうですか…。変わりましたね、白蘭」

「そうかなぁ。…ま、個人の笑顔が個人的に見たいなんて思ってるんだから、変わった、んだろうね。自分じゃよく分からないけど」

「私は…あまり変われていませんね。子供のままです」

「ユニちゃんはそれでいいと思うよ。変わりたいと思ったときに人は変わるものさ。無理したってしょうがない。それは僕がよく知ってる」

「…はい」

「よし、じゃあ今日の会議はここまで! 僕はにテレビ電話かけて寝るよ。またね、ユニちゃん」

「はい。おやすみなさい、白蘭」

「おやすみ〜」