調査報告書

 リヴァイアサン
 ヨブ記に登場する、終末を報せに降臨する獣の名。遥かな掟により世界に終焉をもたらすとされる。
 幾千もの獣や魚の身体からなる巨体を持つ。
 来るべき最後の審判の日、その巨大な肉は聖なる人の食物として厳かに献上されるという。

 辺境の地ギョレメにて確認された巨大な生物。無数の生き物の死骸を繋ぎ合わせたかのような歪でおぞましい姿をしており、重量・腐臭ともに想像以上のレベルである。その巨大さ・異常さからヨブ記に登場するリヴァイアサンと仮称されている。
 日本警察の特殊課が国連の治安維持活動の一環として密かにこの生物の調査・可能ならば捕縛、または抹消に乗り出すが、失敗。全ての銃火器などの攻撃を受けつけない巨大生物に精鋭部隊は為す術なくその巨体に押し潰され全滅する。
 そんな中で部隊メンバーの一人である「雲雀恭弥」だけが生き残り、二年後、日本に帰国する。
 推測として、彼はすでに巨大生物に取り込まれた独立した「死体」であるか、特殊な条件により巨大生物と何らかの「共存」を果たしたものと考えられる。
 本案件については調査を継続されたし。

 ミラーヒューマン(鏡人間)
 鏡に映したようにそっくりの生物(死体をもとに作製されるもののため、生物という表現は適切ではない)を指す。
 長らく身体のどこかしらがつぎはぎされたような失敗作ばかりが蠢いていたが、ごく最近になって完成体が出回るようになる。
 特徴として、傷を負っても血液などは流れず、体温は死体と同様に冷たいことが挙げられる。リヴァイアサン(上記参照)同様銃火器などの攻撃を受けつけない特殊性と厄介性を持つ。

 練習体のようなキメラは世界各国で発見されていたが、完成体であるミラーヒューマンはごく最近、主に日本で見かけられるようになる。
 この生物に対して日本警察・特殊課の中に対抗手段を持つ人間が複数人いるという情報あり。その具体的な方法については定かではない。
 また、ミラーヒューマンを作り出している人間・あるいは組織などその一切は不明。目的なども不明。
 同様の存在であるリヴァイアサンすら誰かの手に造られたものなのか、ヨブ記にあるように世界創世から存在していた生き物であるのか、本当に世界を終わらせるためにかの生き物は現れたのか、不明である。
 人をもとに作られたミラーヒューマンにはSランク任務レベルの注意と配慮を持って接されたし。こちらと同等の思考力、判断力があるものと考えよ。相手はただの死体でも動物でもない。


 雲雀恭弥
 日本警察・特殊課の中でも問題視されている人物の一人。
 正義感に薄く仕事の選り好みをし、上司からの頼みでも気に入らなければ蹴ることが当たり前という、上の人間からは嫌われる性格の持ち主である。
 その仕事ぶりはといえば、誰かと組むことを嫌がる一匹狼であり、腕っ節は確かだが、治安を守ることが仕事である警察としてはやりすぎなのではないかと思われるストイックさを併せ持つ。が、日本が多民族国家となった昨今では事件の異常性などが増したため、そのストイックさが「頼りがいがある」という認識に変わり、彼の株は密かに上がっているらしい。

 内密に得た情報だが、難民の少女を拾って飼っているという話がある。仕事上も私生活も人と過ごすことを極端に嫌う人物だと思われていたが、その見解は訂正せねばなるまい。
 この少女についてだが、詳細は全く持って不明。
 探っているなどと知られようものなら直接その手にかかりかねないため、深追いは禁物。「雲雀恭弥」と「リヴァイアサン」との繋がりが考えられる今、慎重に調査を継続すべし。
 以上